新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月29日に開催を予定していた式典は中止とさせていただきました。
このような状況の中でしたが、関係者のみの終了報告会として、今回関わったアーティストが自身の壁画について思いを語るアーティストトークをおこないました。
中止の発表をしていましたが、マスコミ各社や住民の人たちが完成した壁画を見に会場に足を運んでくれました。大変大変感謝いたします。
多様性を象徴する場所である保見団地で11月から積み重ねてきた住民との絆の全てが、この壁画の中に表現されています。
制作をしていると、住民の人から「綺麗にしてくれてありがとう」と声をかけてもらえます。
子どもからも「オブリガード」や「グラシアス」などと言ってもらえます。
共通言語としての「アート」は、多文化、多様性を繋いでくれる力が確かにありました。
この場所はこれから住民の人の憩いの場になっていくと思います。「これからは私たちがこの場所をきれいに保っていきます」と話してくれたペルー人のお母さんの言葉を信じています。
今回のプロジェクトは本当に多くの方に支えられたおかげで終了を迎えることができました。
アーティストは保見団地も、住民の皆さんのことも大好きです。終わったことに寂しさを感じていますが、私たちはまた保見団地に遊びに行きます。
多文化共生についての問題は、保見団地だけに起こっていることではありません。保見アートプロジェクトでの成果を、将来の日本各地で起こりうる課題に対する取り組みの一つのモデルとして、今後多方面に伝えていきたいと考えています。
アートは国籍を越えて人と人を繋ぐ力があります。自己表現の場での人と人の関わりによって、お互いを尊重する心が育ちます。一緒に絵を描いていると自然と言葉が溢れてきます。すると不思議なことに、いつの間にか心が通じ合っているのです。
個性を尊重することは相互理解へと繋がっていくのだと今回のプロジェクトを通して改めて感じました。
今回、参加したアーティスト同士で長期間にわたってプロジェクトについての議論を重ねてきました。
アートワークショップを通して、保見団地で暮らす多国籍の人々の声を聞きました。
さらに、自治区役員や行政、業者とも幾度も交渉や対話を行ってきました。
私たちはそういったフィールドワークに基づきSNSを通じて保見団地の現状について発信を続けてきました。
少しでも多くの人に保見団地について、また多文化共生についての課題に関心をもっていただくことができたとしたら幸いです。
また、今回プロジェクトに取り組むにあたり影響が大きかったことに、クラウドファンディングを経験したということが挙げられます。本当に多くの方からのご支援、ご協力をいただきました。
皆様に背中を押していただいたおかげで、最後まで使命感をもち、何より楽しみながら制作することができました。
壁画完成までの道のりは一筋縄ではいかないこともありましたが、いつしか住民の皆さんとの何気ない会話すらも制作活動の源泉になっていました。
ご支援をいただいた皆様に深く感謝し、御礼申し上げます。
ありがとうございました。