2011年3月11日、日本は多くの命を失い、
老いでも病でもなく失われる命の無常さと向き合うことになった。
震災からちょうど1年後に宮城県に訪れた際、灰雪が降る中を喪服姿の人達が、
津波で流されて更地になった場所に献花し手を合わせる姿を多く目にした。
至る所に高さ7~8mぐらいの瓦礫の山があり、
訪れた先々で目を覆うほどの数え切れない「生」の「痕跡」を目のあたりにした。
3日間の滞在中、車に積んでおいた画材を使うことはなかった。
自分が美術作家である前に、1人の人間であると実感した。
大学時代以来、主に廃材となった既製品を素材として作品制作をしてきたが、
震災以降の作品は、「廃材」を思想的な「痕跡」という概念に拡げ、制作を進めている。
「痕跡」とは決して単なる廃材や残骸ではない。
「痕跡」を残しながら「生」まれ変わる。脆さを認め、
生きていくための手段を見つける。
今を生きていくことへの使命、新たな命への希望を表現したいと考えている。
造形作家
中島法晃 Nakashima Houkou
- 1979
- 岐阜県出身在住
- 2000
- 浄土真宗本願寺派得度
- 2002
- 東京藝術大学美術学部彫刻科卒業
- 2016
- 名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士課程前期課程教育人類学領域修了
- 2007
- グループ展「いつか還るところ」(ギャラリー濱村/静岡)
- 2009
- 個展「うつつ」(ギャラリー遊子/岐阜)
- 2010
- 個展「文字展」(ギャラリークロッキー/岐阜)
グループ展「伝統工芸新作発表展」(レクサス長良/岐阜) - 2011
- パフォーマンス「名古屋城東日本大震災復興応援ステージ 」(名古屋城/名古屋)
- 2012
- 個展「中島法晃個展」(ガレリアフィナルテ/名古屋)
グループ展「99+1」(土蔵/岐阜)
グループ展「スパイラルオブライフ」(幻想工房/岐阜) - 2013
- パフォーマンス「桂勘舞踏公演」 (光輪寺/岐阜)
- 2014
- 個展「煙」(FEI ART MUSEUM YOKOHAMA /横浜)
個展「記憶を記録する」(ガレリアフィナルテ/名古屋)
アートプロジェクト「日比野克彦監修清流まるケ」(揖斐川町庁舎/岐阜)
アートプロジェクト「日比野克彦監修こよみのよぶね」(長良川河畔/岐阜) - 2015
- パフォーマンス「WABI-SABI」(JAPAN EXPO16/パリ)
グループ展「涼を愛でる」(f.e.i art gallery/横浜)
書「椎名林檎と彼奴等がゆく 百鬼夜行2015『至上の人生』歌詞」 - 2016
- 個展「芸術家のオートエスノグラフィー」(Hideharu Fukasaku Gallery Roppongi /東京)
グループ展「美術がくれるもの」(FEI ART MUSEUM YOKOHAMA/横浜)
書「読売巨人軍メインヴィジュアルポスター文字『一』」 - 2017
- グループ展「間の構造〜虚空をよみとる〜」(岩崎ミュージアム・ギャラリー/横浜)
美術ユニット「坊主と博士」展(光輪寺/岐阜)
個展「芸術家のオートエスノグラフィー」(名古屋大学教養教育院プロジェクトギャラリーclas/名古屋)